いやなおと
部屋の中に心を置いてきた。
コンセントの穴から世界を見ようとした。
私はこの部屋から出ることは出来ない。鍵をかけてしまったから、もう何も見えない。
窓の外をかすめてゆく光達、魚影のようなそれらは、私のことを伺っているようだった。
嫌な音がする。
耳を塞いでも聞こえるそれは、きっとこの世のものではない。
私は私である以上、私以外を愛せるようにとこの世界は強要した。
然し乍らそれらをうまくやりくりできない私は誰にも愛を渡せぬまま数ばかりを増やしていった。
ねぇ、あなたの幸せを私に教えて欲しかったの。私のそれらとあなたのそれらが違うからこそ、私は夜を限りなく透明に出来るのです。本当です。
嘘つきの約束には期限があります。
嘘を嘘と成立させる為にはそれが、本当になる前に終わらせなければならないのです。
ここまで書いていた文章を見つけたのでここにこうして記すことにします。
解けた糸を、紡いだ意図でごまかしたら、きっと明日はいい日が来るよ。
誰かの涙に促された後悔なんて虚しいじゃない。
あなたの居ない世界でさえ、私はきっとまた別の誰かの中にあなたを探す。
夜に朝を求めようとも、日々は翻して眠りの海へ。
あと少し、あと少しで途切れてしまいそう。
ねぇ、どうして私、ここに居るんだっけ。
確かめる術ばかり探している。
最初から何もないこの世界で。