アオノコキュウキ

言葉を綴ります。あしからず。

宵越しの孤独

 

 

昨日飲みかけたペットボトルが

まだそこにあって

それを気にせず口にする

人によってはもう飲めないと言う

それはそれ、これはこれ

昨日飲みかけたペットボトルは

容れ物のまま

中身はいつまでも変わらないと思っても

少しずつ変化し

全く違うものに変わってしまうかもしれない

 

 

 

 

 

昨日飲み下した孤独が

まだそこにあって

それを気にせず口にする

人によってはもう飲めないと言う

それはそれ、これはこれ

昨日飲み下した孤独は

容れ物の中で

中身はいつまでも変わらないと思っても

少しずつ変化し

全く違うものに変わってしまうかもしれない

 

 

 

 

 

昨日を質問責めした挙句

私は昨日に殺される

昨日から持ち越した全てが

今の私を作るとして

それはいつまで続くのだろう

昨日持ち越した全てが

今日残っている確証は無いのだ

気の抜けた炭酸飲料を眺めながら

昨日飲み干しておけばよかったと思うか

炭酸飲料の炭酸を抜いて飲む誰かのように

そもそも必要ないものだったと思うか

昨日から持ち越した全てが

今日残っている確証が無いのならば

昨日までに積み立てた不安も後悔も

明日にはもしかしたらこの容れ物から

抜けてしまっているかも知らない

 

 

誰かを恨んだら憎んだら

あまつさえ恋しく思ったり

そういった感情の一つ一つが

泡のように消えて無くなってしまうかもしれない

消えて無くなるというのは

いつだって私の頭をおかしくする

見えなくなるだけで

無くなるというのはおかしな話で

ものの形状形態形質が変化しただけで

総量が変わってしまうのはおかしな話で

だからこそ私たちはいつだって

やかんから立ち上る湯気のいく先を見つめている

あの透明の中には

きっとまだ存在しているはずだ

モゥモゥモゥ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

忘れたくないこと

忘れてしまったこと

薄れてしまってこと

消えてしまったこと

私は確かに愛していた

私は確かに憎んでいた

私は確かに怒っていた

私は確かに私だった

それなのにどうして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宵越しの孤独が私の輪郭を撫でる

私の背丈を測りにくる

私はほんの少し気丈に振る舞って

彼らが肩透かしを喰らうのを眺めている

いつかその孤独を飲み干してしまえる時

私は、誰かに話をしなければならない

 

 

ねぇ、聞いている?

何から話そうか、

 

私の姿形が見えなくなったとしても

あなたが探してくれるならば

 

 

・・・ーーー・・・